『読む』を知る。人は無意識に読み飛ばす?

『読む』を知る。 人は無意識に読み飛ばす?

現代文を「読む」,英文を「読む」,問題文を「読む」,などといったように,学習と「読む」といった行為は,切っても切り離せない関係にあります。では,この「読む」といった行為を,私たち人間はどのように行っているのでしょうか。このコラムでは「読む」といった行為を人間がどのように行っているかを解説したいと思います。

 驚くべきことに,人間は文章を読むときに,文章の全てを読んでいるわけではありません。一見矛盾していますが,いわゆる「読み飛ばし」を人間は無意識のうちに行っているのです。

 国語の授業で教わった記憶がある方もいるかもしれませんが,「文」は「文節」に分けられ,そこからさらに「単語」に分けられます。そして,「単語」は「名詞」や「助動詞」といった「品詞」に分類ができます。人間が無意識のうちに行っている「読み飛ばし」は,この「品詞」が重要になってきます。文を読む際に,「名詞」や「形容詞」といった品詞が「助動詞」などの品詞に比べて重要なのは想像に難くないでしょう。

 この重要性の差から「読み飛ばし」が発生します。人間は文章を読む際に,一瞬にして何が重要で何が重要でないのかを見分けているのです。その判断を基に,文章の重要な箇所を中心に読むことが出来ます。この非常に複雑な作業によって,私たちは長い文章でもなるべく疲れないように読めています。「読み飛ばし」は決して悪いことではなく,なるべく少ないエネルギーで文章を読もうとする,進化の結果得た工夫なのです。


 というわけで,短い文章でしたが「読む」という行為の一端を説明してきました。人間という生き物は,当事者である私たちが思っているよりも複雑で,思いもよらないことを行っています。興味をもった方はぜひ心理学を学んでみてください。