私たちは生物であり、動物や微生物などあらゆるものが生物です。
しかし、ウィルスは生物とは言い切れません。
これはどういうことでしょうか。
今回は普段意識したことがない「生物」とは何かについて考えていきたいと思います!
“生物”とは学校の教科書によると、
(1)外界と膜で仕切られている。
(2)代謝(エネルギー変換)を行う。
(3)自身を複製する能力を持つ。
の3点を満たしているもののことを指します。
これらの点について人間とウィルスの違いを一つずつ見て行きましょう。
(1)外界と膜で仕切られている。
私たちの体は皮膚でおおわれており、心臓や肝臓などの臓器は皮膚によって外界と隔離されています。これが外界と膜で仕切られているということです。意外かもしれませんが、口から食べ物を入れて、おしりから排泄されるまでに通過する、食道、胃、小腸、大腸などは体の外ということになります。
ウィルスもまた、自身の遺伝子を膜で包み込んで存在しているので外界と膜で仕切られているといえるでしょう。
(2) 代謝(エネルギー変換)を行う。
代謝とは、体内で物質をエネルギーに変換することです。人間などの動物は、食事で得たものをエネルギーに変換して動いています。体温が高かったり、汗をよくかく人を代謝が良いと言うのは、体内でエネルギーが良く生み出されていることを表現しているからです。動物に限らず、植物や微生物も細胞の内部で分子レベルのエネルギーのやり取りを行っています。
一方、ウィルスは基本的に何かを取り込んでエネルギーを作り出せないので、人間などの生物に入り込んで宿主※のエネルギーを利用します。
※ウィルスが寄生する生物のことを宿主と呼ぶ
(3) 自身を複製する能力を持つ。
人間は子孫を残すことができます。他の動物も微生物も自身を複製することができます。しかし、ウィルスは単独で増殖することはできません。ウィルスは、人間の細胞の中に遺伝子を送り込み、人間の細胞が分裂するのに便乗して自身の複製を実現するのです。
これまでの内容をまとめると以下のようになります。
|
人間 |
ウィルス |
(1) 外界と膜で仕切られている |
〇 |
〇 |
(2) 代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う |
〇 |
× |
(3) 自身を複製する能力を持つ |
〇 |
△ |
以上のことからウィルスは生物とは言い切れないということが分かっていただけたでしょうか?
昨今猛威を振るっているコロナウィルスも、皆さんに感染することがなければ増えることができないので、一人一人の感染防止策が大事ですね。
ここまでウィルスの正体が分かってくると、
「どうすればウィルスの感染を防げるのか?」
「ワクチンはなぜ効くのか?」
など様々な疑問が湧いてくると思いますが、それらの詳しい話はまた機会に。
(ライター:Fe)
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