『トーク力の差はどこからくるのか』

みなさんは「オードリーのオールナイトニッポン」を聴いたことはあるだろうか。オードリーがパーソナリティを務めるラジオ番組で、今年で14年となる長寿番組である。



この番組は二人のフリートークを軸に構成されており、それぞれのトークゾーンが設けられている。今でこそ春日のトーク力は上がったものの、初期の頃は二人の間でトーク力に大きな差があったように思う。



この差はどこから生まれるのだろうか。それぞれのトークの特徴を分析したい。



まず春日は、出来事を時系列順に話すことが多い。しかしそうするとトークが単調になりやすく、話に抑揚が出ない。致命的なのは、オチがつけにくくなってしまうことである。「~というお話。」という言葉でよくトークを締めているが、オチもなく急に話が終わるので、聞き手はガクッとしてしまう。

そして無駄な部分が多いのも特徴である。面白い出来事を全てトークに盛り込みたいのだろうが、結果的にメインと関係のない話が多くなり、冗長になってしまう。よく若林に、「家を出るまで(の話)が長い」とツッコまれていた。



一方で若林はどうだろうか。

彼のトークには、フィクションも含まれていると私は思う。もちろん実際に体験した話が基になっているが、登場人物の言動に脚色を加えていると感じる。そうすることで話の流れを綺麗にできるし、オチもしっかりつけられるのである。

加えて、彼のトークは「間」が絶妙である。一拍置くことで、その後の言葉の面白さが倍増されている。聞き手としても間があることで、「どんな言葉が出てくるんだろう?」とワクワクするし、予想を裏切る言葉に思わずクスっとしてしまうのである。



そして何よりも、若林は春日をトークに引き込むのが上手い。春日のトークゾーンでは若林が積極的にツッコミを入れているが、若林のトークゾーンでは、若林がフリを効かせて春日を引き込むことが多い。このラジオの醍醐味である二人の掛け合いを仕掛けることで、視聴者を楽しませるトークとなっているのだ。



日常的な会話の中では、春日のように出来事を丁寧に話してしまうことが多いのではないだろうか。少し脚色を加えてみたり、テンポを工夫するだけでも格段に変わるだろう。上手い人のトークを研究することで、あなたも話し上手になれるかもしれない。



春日のことを散々に言ってしまったが、実は過去に「松本人志のすべらない話」でMVS(Most Valuable すべらない話)を受賞している実力者でもある。若林も、春日が(お笑い的に)年々成長していることを認めている。10年以上経っても成長し続ける春日は、やはりスターなのかもしれない。



二人とも結婚して子どもができたことで、また新たな一面を見せてくれるに違いない。そんなのびしろしかないオードリーの二人が送る「オードリーのオールナイトニッポン」、あなたも聴いてみませんか。

(ライター:ぺんぺん)