赤道直下に行くと体重が軽くなるってホント?

この記事のタイトルを見たとき、あなたは何を想像しただろうか?

 

赤道の方が暑いから痩せるの?

それとも新たなダイエット法?

 

そのどちらでもない。

今回は、その場所に行くだけで体重が軽くなってしまう魔法のような事実をみなさんと共有したい。



日本で体重60.0 kgの人は赤道直下の国エクアドル※へ行って体重を測ると59.8 kgになる。



不思議かもしれないが、本当に行くだけで約0.2 kg体重が軽く表示されるようになる。



体重が軽くなると言っても、厳密にはあなた自身が痩せるわけではない。

どういうことか訳が分からないかもしれないが、この事実を説明するために、まずは体重計の仕組みについて考えてみよう。



皆さんは地球から平等に重力を受けている。

人が体重計に乗ったとき、体重計は上に載ってる人から力を受ける。

体重計はこの力の大きさを測って体重を表示している。(※)



車やジェットコースターで急カーブを曲がるとき、外側に振られるのを体感したことはあるだろうか。このように円軌道に沿って動く物は中心から外側に向かう遠心力が加わる※

 

この記事を読んでいるみなさんも、今この瞬間自身が円運動していることにお気づきだろうか?

椅子に座っているだけ、スマホを見ながら突っ立てるだけと思っているかもしれないが、実は時速1500km/h以上の爆速で円運動している。



それは地球の自転だ。

地球は24時間で一回転するペースで自転している。つまり地球一周約40000kmをわずか24時間で移動しているのである。

 

そして、円運動するものは中心から外側に向けて力を受けるので、皆さんは地面から空に向かって上向きの力を受けているということになる。

 

この遠心力は中心からの距離が遠いほど大きな力となるため、地軸を中心に回転している地球上では、北極や南極が最も小さく、赤道上が最も大きな力を受けることになる。





そのため、赤道付近にあるエクアドルは地球の中心から空へ向かってかかる力が大きくなる。

そして、体にかかる重力が遠心力と相殺されるため、体重計にかける力が減ることになる。

その結果、体重計に表示される数値が小さくなるのである。



エクアドルの地で痩せたと思った人は、日本に戻って来たらどうなるか、皆さんならもうお分かりだろう。

 

もし日本に帰ってきても体重が軽いままだとしたら、それはあなたがエクアドルに向かう道中で日頃の運動不足が解消されたからかもしれない。

 

ライター:Fe



※エクアドル 南アメリカ大陸にある赤道直下の国、名前の由来は赤道(equator)。

 

補足1 最近の体重計は、その場所ごとに補正を行っているため、補正をしてしまったらどこで体重を測っても60kgになる。

 

(以下の補足は物理を知っている人のみ)

補足2 遠心力は向心力の慣性力であるため実際には存在しない見かけの力である。

 

補足3 体重計は質量を測っているのではなく、その物体が地球に引っ張られる重力の大きさを測っているのである。

誰かに支えてもらって体重計に乗ると、小さい値が表示されるが、それはあなたの質量が小さくなったのではなく、あだ名が体重計に及ぼす力が小さくなったというだけ。

 

参考)“北極付近および赤道における物理現象の観測および測定” 第22回物理教育研究大会