試験の点数

それは自分がこれまでに準備してきた成果が数字として返ってくるもの。

皆さんは試験の結果が返ってきたとき、何を思うだろうか。

 

凡人はただ点数がいくつだったかという数字だけを見て一喜一憂する。

少し賢い人は、どこを間違えたか確認するだろう。この時、多くの人は失点箇所の原因をこの魔法の言葉で片付ける。

「ケアレスミス」

みなさんはどうだろうか?

 

実は、試験で継続して高得点を取れる賢い人は、この言葉で片付けることはほとんどしない。なぜなら、ケアレスミスを減らすには教科書からは学べない別の実力が必要なことを知っているからだ。

これにより、点数の高いか低いかだけをみて一喜一憂する人と、その点数を二つの要素に分けて分析している人では、一つの試験から得られるものに大きな差が生まれる。

 

 

今回は点数を生み出す二つの力ついて、数学を例に話してみようと思う。

まず、試験の得点は主に2つの力の掛け算で決まるとイメージしてほしい。

 

①    自分の本来の実力 ここは、100%を目指すべき
②    試験での実力を発揮する力 理想は100%,しかし、現実的には80%以上を目指す

例えば、試験で90点取れる実力があった人が、ミスなどで80%の実力が発揮できなかったとすると本番の点数は72点になるということだ。

 

そして、ケアレスミスで片付ける人はこの②の力を軽視していると言うことになる。

 

では、試験の結果から①と②どちらの力が原因かを判断するにはどう考えたら良いだろうか。

 

中学3年生で習う2次方程式を例に考えてみよう。

x2 – 5x + 6 = 0

この問題を中学2年生のAさんと高校3年生のBさんは、

以下のように解答した。

Aさん(中2)                                                             Bさん(高3)

x2 – 5x + 6 = 0                                               x2 – 5x + 6 = 0

x = 2                                                             ( x – 6 )( x + 1 ) = 0

(たまたま代入しただけ)                                    x = -1, 6

どちらも正解ではないが、原因が異なる。

 

①解き方を知らないAさん

Aさんは中学2年なのでそもそも二次方程式の解き方をまだ知らないために失点した。

つまり、①の力が足りないために失点したのだ。

一度解法を習ったことがある高校生でも、忘れてしまっているならこれと同じだ。

 

[①の対策]

失点した分野を教科書や問題集を通じて学習する。自分が理解できていない分野を勉強するだけでいいので対策は比較的容易

①の力が身についているかは、問題集を解くなどで確認できるので比較的容易だ。

もしかしたら、まだ各科目にどんな分野があるのか分からなくて対策できない人がいるかもしれないが、そんな人は教科書や問題集の目次を見るといいだろう。

目次にはその教科で習得しなければならない内容が一覧化されているので、どの分野ができていないかを一つ一つ漏れなくチェックできるはずだ。

 

 

②解き方を知っているのにミスをしたBさん

一方、Bさんは、既に2次方程式を習得しているはずだが、因数分解でミスしたために失点した。

つまり、①の力はあるにも変わらず、②の力が足りずに実力を発揮できなくて失点したのだ。

この時、Bさんは「なぜ減点されてしまったのか」、「その減点をなくすためには何をする必要があるのか」を考えることが重要である。

単に「ミスをしないように気を付ける」だけでは意味がない

 

[②の対策]

「因数分解したときは、常に展開して元に戻るかチェックをする」などの具体的な解決策をできるだけ多く挙げる、そしてそれをメモに残しておく。

ここでいくつの対策を上げれらるかで一問から吸収できる経験値が変わってくる。
対策が間違っていたとしても構わない、より具体的で、数が多ければそれだけで②の力は身につくのだから。

その後、自分で考えた対策案を、問題集で演習しながら確認することで徐々に②の力がついてくる。

これにより、次に同じ状況に出会ったときにミスをしにくくなり、仮にミスをしてもその場で気づけるようになってくる。

(※数列の問題では代入してチェックするなども有効な対策だろう)

②の原因は、計算ミスだけでなく、記述不足による減点なども含まれる。

(階差数列で、n≧2とする。置き換えたときに変域チェックする。など)

ここまでで、内容を知らなかったために失点した①と解き方は知っているのにミスをして失点した②の違いが分かっていただけただろうか。

 

では、最後にこれらの失点をどのように克服すればいいかをまとめよう。

原因 ①実力不足 ②実力発揮力不足
内容 そもそも解法を知らない答えを見ても理解できない 計算ミス、問題文の読み間違え、記述間違い
対策難易度
対策にかかる時間 数週間 最短で2-3か月
対策案 該当分野を教科書などで補強する 自分で対策をできるだけ多く考え、実践する

①の力は勉強さえすれば身に着けられるが、②の力は継続して補強していかないとすぐに改善することできない。

多くの人が軽視する②の力不足こそ、ケアレスミスの根源であり、付け焼き刃では対応できないため入試直前で気づいても手遅れになってしまう。

 

もうすぐ、夏休み。

受験生にとって最も大きな山場だろう。。

模試や試験の点数に一喜一憂しがちだが、上記を参考に、自分のミスが①, ②のどちらの力に由来するのかを考えることで、点数は飛躍的に向上する。

この記事を読んだ皆さんが、試験本番で実力を発揮することを切に願う。

(ライター:Fe)

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