成長 企業の飽くなき欲望

「どこの企業も同じようなもんだな」

就活のときに会社資料を見て思った。外向きの紹介では企業のウリや特徴など、どこの会社も大差ない。こんな中で何を選べというのだろうか。

 

よく見るウリの中に「成長」という言葉がある。ここで言う「成長」は売り上げや利益など、企業側の成長である。「成長」=良い事のように扱われているが、果たして本当にそうだろうか。

 

本来、企業にとって「成長」とは理念やビジョンを達成するための手段であり、目的ではない。理念達成のために必要な成長ならばよいかもしれない。しかし、理念を忘れ「成長そのものが目的」となっている企業も少なくない。目的を見失い、際限ない「成長」を望んだとき、企業はバランスを崩す。それが過度な成果主義や企業不祥事に繋がってしまうのである。

 

成長しすぎない経営手法として、伊那食品工業株式会社の「年輪経営」が有名である。「年輪経営」とは年輪のように毎年少しずつ成長していく経営手法のことで、厳しい年は少しでも成長し、好調の年でも成長しすぎないことが特徴である。少しずつ着実な成長が社員を含めたステークホルダーの幸せに繋がるのである。

 

戦後の復興期であったならば、とにかく「成長」だったのかもしれない。しかし、色々な面において豊かになった現代において、「成長」とは必ずしも必要なものではない。何のために企業が存在し、何のために働くのか問い直す必要があるのではないだろうか。

(ライター よっしー)