戦わない人生

人生には中学受験、高校受験、大学受験、就活…といった、四つの壁がある。これら全部の壁に努力して立ち向かっていく人も少なくない。しかし、真っ向から立ち向かわずにすむなら、極力避けて生きていきたいと思うのが私の考えであり、最低限の頑張りで今まで生きてきた。

 

人生第一の壁、それは中学受験だ。

私が一番勉強していたのは国立中高一貫校の受検に向けて勉強していた、小学校の頃かもしれない。小学校高学年になってから中高一貫対策に強い塾に通い始めたが、家から遠かったため土日や季節講習しか行かなかった。この時点で、もう省エネな人生が始まっている。普通に中学受験をする小学生たちは平日も夜遅くまで塾に通い、家に帰ってから大量の宿題をこなす。しかし、私は通信教育や塾の教材を朝と夕にやり、21時ぐらいには寝る生活をしていた。受検直前になってもそれは特に変わらず、ガツガツとした勉強をせずに志望校に合格した。

 

人生第二の壁、それは高校受験だ。

中高一貫の学校に進学し、進級試験などもなかったため、高校受験には全く触らずに通過した。

 

人生第三の壁、それは大学受験だ。

私は中学の頃から助産師になるという明確な夢を持っていたため、高校2年の授業選択の時点から余計な科目を選択せず、最低限の単位数だけ取った。そして看護大学に進学するために数学IAと英語と生物の勉強だけをしていた。

看護系一直線で走っていた一方で、実はもう一つやりたいことがあった。私は絵を描く事やグラフィックデザインが好きで、美術系にいきたい気持ちが心の隅っこにずっとあった。しかし実際に美大受験をするとなるとデッサンや色彩構成といった実技が必要になる。高校2年の私はそこから始めても現役合格は無理だと分かっていたため、実技がなくても入れる美大を探した。そして、たまたま実技無しでも入学できる学科が見つかった。その美術系のを受けてみて、ダメだったら看護系に進もうと決めた。軽めの気持ちで受けたが結果は合格だった。またしても最低限の頑張りで大学受験を終えることができてしまった。

 

「日本は学歴社会で、勉強を頑張って、良い中学、高校、大学に行って良い企業に入るためにモーレツに頑張らなければいけない」というようなイメージがある。しかし、それだけが人生ではないと思う。勉強がどうしてもできない、他にやりたい事や好きな事があるという人はこんな「戦わない人生」をお勧めする。

 

 

私は春から大学3年生で、就活という第四の壁が迫ってきている。今までこんなに省エネで生きてこられたのだ。これからだって戦わないで生きてやる。

 

(ライター:千)